エンジン

もうひとつロードスターRFの大きな特徴はエンジンが2リッターであることだ。日本仕様のロードスターは1.5リッターであるのに対して今回の決定は「より余裕ある走りで幅広い年齢層にアピールしたかったため」(広報担当者)と説明されている。1,997ccのミラーサイクルエンジンで筒内直接噴射式だ。可変バルブタイミング機構を備え116kW(158ps)の最高出力と200Nmの最大トルクを持つ。トランスミッションは6段マニュアルと6段オートマチックが用意され後輪駆動となっている。

もうひとつ特筆すべきはエンジン。今回2リッターが搭載されたのだ。ソフトトップが国内仕様は1.5リッターであるのに対して「すこし上の層をターゲットにしたため余裕ある走りをめざした」とマツダの開発担当者は話す。実際に運転した感じは、あきらかにパワフルだ。116kW(158ps)の最高出力と200Nmの最大トルクがある。1.5リッター(96kW、150Nm)から排気量が増加しているのだから当然といえば当然なのだが。

6段マニュアル変速機(嬉しい装備)で走らせると、低回転域から目立って力強い加速が味わえる。ターボチャージャーに頼らない設計の恩恵として「スカイアクティブG」エンジンはよどみなく高回転域まで吹き上がる。この爽快さはさすがスポーツカーだと嬉しくなるほどだ。

低速では軽く回せることでクルマが扱いやすい感じになるいっぽう、高速ではアシスト量がへってしっかり感が出るのだ。マニュアル変速機モデルは、ふんばりのきく脚まわりと反応がいいステアリングホイールのおかげで、スポーツカーとしての出来のよさを感じる。いっぽうオートマチック変速機のモデルは落ち着きある動きだ。

ただし、走りの質感はこちらが圧倒的に優っている。搭載するエンジンは、1.5リッターから2リッターのスカイアクティブにスープアップされている。直列4気筒DOHC16バルブ。最高出力158ps/6000rpm、最大トルク200Nm/4600rpmを絞り出す。

標準のロードスターが搭載する1.5リッターは、最高出力が131ps/7000rpm、最大トルク150Nm/4800rpm。車両重量はそれぞれ1.1トンと1トン。約100kgも違うが、それをパワーが補って余りある。ピークパワーの発生回転は1000rpmの違いがある。だがそれはスペック上の話。数値ほど高回転の爽快感が見劣りすることはないし、そもそもトルク感が圧倒していたのである。

変化したウエイト、重心高の高まりに合わせ、足回り、ボディを含め、ロードスター RFにはしなやかに入力をいなすセッティングが施されました。走りは穏やかでスムーズ。ベストな排気量の1.5リッターユニットをブン回して走るのも痛快だけれど、多少の余裕を得たロードスター RFの、スポーティでありながら落ち着いたフィールも、いいですね。クルマの性格に見合っています。

海外向けには、RFにもソフトトップモデルと同じ1.5リッターエンジン(131馬力/15.3kg-m)を載せたモデルをラインナップする市場もありますが、日本向けRFのエンジンは、2リッターの4気筒(158馬力/20.4kg-m)のみ。1.5リッターのソフトトップモデルより、価格で50万円前後高く、ドライブフィールもちょっと大人の雰囲気です。

RF VSの車重は1100kg。ソフトトップの「S レザーパッケージ」(6MT)が1020kgですから、80kgほど重くなった計算です。それでもパワーウエイトレシオは、7.8kg/馬力に対し7.0kg/馬力と、優位に立っています。その上、6MTのギヤ比は、ファイナルを含めて両車共通。RFのアウトプット増加分は、そのまま加速性能に上乗せされることになります。

RFの重量増加について付け加えますと、ハードトップ化による増加は約45kg。エンジンの2リッター化で14.2kg。タイヤの17インチ標準化で3.9kg(4本合わせて)。燃費が17.2km/Lから15.6km/Lに低下したことに対応し、燃料タンクの容量を5リッター増の45リッターにしたため、プラス3.4kg。さらに、ソフトトップモデルではオプション扱いのエネルギー回生装置“i-ELOOP”をRFでは標準化。これが意外に重く、20kgの増加となりました。随分重くなったようですが、でも、オプション装備をおごったソフトトップモデルと比較すると、大人ひとりを余分に乗せているレベルです。

RFのパワートレインには、排気量2.0Lの直列4気筒自然吸気エンジンが選ばれた。最高出力116kW(158PS)/6000rpm、最大トルク200N・m/4600rpmで、当然ながら1.5Lのノーマルロードスターよりハイパワーなもの。ハードトップ化により1100kg(RS)まで増加した車重に対応したものである。

2リットルエンジンは最高出力158ps。車両重量は1100kgなので、パワーウェイトレシオは約7kgとかなり良い数値になるのだが、ATが6速100km/hクルーズ時で1750rpmとかなりハイギアードセッティングであるためか、それほど俊敏な印象はなかった。燃費は天王洲アイルを出発後、大黒ふ頭に到着した時点で計器読み16.4km/リットルと、JC08モード燃費の15.6km/リットルを上回った。これはキックダウンを幾度も試したりしながらの数字で、ロングドライブではこれよりずっといい数値になるのではないかと思われた。

ルーフが全開になったところで、アクセルも全開…といきたいところだが、都内一般道の試乗なので自制心を働かせたアクセルワークでクルマを進める。ソフトトップのロードスターが1.5リットルエンジンを搭載するのに対し、RFに搭載されるエンジンは2リットル。最高出力&最大トルクは158馬力/200Nmで、1.5リットルに比べて27馬力/50Nmほどスペックアップされている。

普通はエンジンの排気量を増やすとギヤを低く(重く)して、燃費や快適性を向上するものだが、ロードスターRFはそれを拒否した。ミッションは1.5リットルと同じで軽々とつながりのいいセッティングのまま。1.5リットルと同じくリズムに乗った走りが可能で、コーナーに向かってシフトダウンしていくのが楽しい。

エンジンはこれまでの幌車が1.5リッターなのに対し、RFは2リッターエンジンを搭載。約70kgの重量増に対し、この0.5リッターの排気量増は十分に余裕をもたらしてくれます。

例えば、マニュアルミッションの場合クラッチを繋ぐときにエンストを気にする割合が減るとか、高速で追い越そうとしたときにシフトダウンが少なくなる、といった具合です。もちろん、変速がしたくてMTを買うんだ!って人は変速をすればいいので心配無用です。

こういった余裕は、ルーフを開けていても、閉めている場合はさらに気密性が高く、静粛であり、かなりロードスターのキャラを変えてくれます。同じ速度ならエンジン回転も下がりますしね。

正直、幌のロードスターなら高速で100km/h巡行が気持ちいいところ。それ以上では(出しませんけど)あまり長時間走ると疲れるかな、と感じてました。

ところがRFは、その余裕のエンジンとクローズドボディに近い室内のおかげで100km/hオーバーの巡行もなんなくこなすんじゃないかな、と(出しませんけど)思わせます。

今回、ワインディングなどを楽しむ走りは楽しめませんでしたが、変速回数が減ってしまいそうなRFは、その楽しみが減ってしまうと言えなくはないですが、それはほんのわずかな差であり、ライトウェイトスポーツのキャラクターに変わりはないはずです。

アイドリングストップシステムを搭載した2リッター4気筒の直噴エンジンは、最高出力158PS/6,000rpm、最大トルク20.4kg/m/4,600rpmを発揮する。1.5Lと比べると、当然500㏄排気量が大きいこともあり、低回転からトルクがある。街中でも乗りやすい。

13.0という高圧縮比のSKYACTIV エンジンは、ロードスター専用設計のフライホイール採用、どの回転での不満はないが、もう少しエンジンの回転フィールにキレがあればと思うのは無い物ねだりだろうか。

マツダが11月10日から予約受付を開始した電動格納式ルーフを備えた『ロードスター RF』は2.0リットルガソリンエンジンを搭載している。ソフトトップモデルは日本で1.5リットルでの設定だが、開発担当主査の中山雅氏はRFには2.0リットルが合っていると語る。

中山主査は「もともと海外にはソフトトップでも2.0リットルエンジン搭載車がある。それは日本の場合と例えばアメリカとでは走り方が異なり、ブン回したいか、トルクを使いたいかという違いがあるからだ。ただRFをお求めるになる日本のお客さんはソフトトップとはタイプが違うと思っているし、敷居を低くしてロードスターのファン層をなるべく増やしたいとも思っているので、RFには2リットルが適切だと判断した」と明かす。

というのも「ソフトトップの時には『使い切る喜び』という言葉を使ったが、高い回転を維持する走り方は当然、ギアチェンジも頻繁になる。高速道路を上っていく時に6速から5速、5速から4速へブン、ブンと合わせて走ることができる人はそれが楽しみ。だが、そうじゃない人も当然いて6速のままで上っていきたいという人もいるし、市街地でもそれほどギアを変えずに走る方が好きという人もいる。RFをお求めになる方はそうしたタイプの方が多いとわかっている」からだ。

その上で「RFは『余す喜び』というか、少し余裕を残した状態で走る。そのためにはトルクがいる。だからこのクルマには2リットルエンジンが合っている」と中山主査は強調する。

まず注目の2ℓエンジンは、いい意味での共鳴音のようなエンジン音を響かせながらレッドゾーンまで実に気持ちよく回ってくれるソフトトップのロードスターの1.5ℓに対し、同じ4気筒で排気量が増える分回り方などが雑、大味な方向になるかと予想していたのですが、レッドゾーンが7000回転と1.5ℓより500回転低い以外は音質、回り方ともに1.5ℓと同じような印象で、いい方に期待を裏切られました。

その反面で重量増が影響しているのか、中低速のトルク感や高回転域でのパワー感も1.5ℓと同等に感じたことも意外でした。動力性能に関しては、流れの早い幹線道路や幹線道路くらいのペースで「ギアを落とさずに加速する」といったケースなどでは2ℓのトルクの太さの恩恵を感じられることもあるかもしれません。6速MTは2ℓも1.5ℓと同じものを使っており、相変わらずの抜群のシフトフィールでどこのギアにもスコスコと入り、つい無駄なギアチェンジを繰り返えしてしまいます。

短時間ではありましたが、VSのAT車にも試乗しました。ソフトトップのロードスターは排気量が1.5ℓと小さいせいなのかATだと実用域の加速に若干ストレスを感じていたため、2ℓとATのマッチングには興味がありました。乗ってみるとAT車だとプラス500㏄の威力は絶大で、街乗りであれば2000回転以下の低回転域で粛々と走ることができ、RFの性格にATはよく合っています。またロードスターにATで乗りたいのであれば、それだけでもRFの方がお勧めです。

では、マツダ ロードスター RFを実際に走らせてどうだったか?結論から先に記してしまうならば、これが実に魅力的なキャラクターとなっていたのだった。

まず走りにおける重大なトピックとして、日本市場ではこのモデルにだけ2.0リッターの直列4気筒エンジンが与えられること。最高出力158ps、最大トルク20.4kgf-mを発生するエンジンは、ノーマルロードスターの1.5リッターエンジンと比べると明らかにパワフルかつトルクフルなものだ。しかもロードスターはもともと超軽量なモデルであるがゆえに、今回のリトラクタブルトップ機構で約45kgも重量増があるにも関わらず、車両重量は1100kg程度に抑えられる。

ならば走りは・・・これが実に大人っぽい。1.5リッターよりも遥かに太いトルクで走れるため、まずは街中での印象が1.5リッターよりも良い。アクセルをわずかに開けるだけでグッと前で出る感覚はノーマルにはないもので、これによってストップ・アンド・ゴーの多い街中では、力強さと余裕を感じられるのだ。さらに踏み込めば、太いトルクによる気持ち良い加速がもたらされる。

1.5リッターのみしか体験していなかった時には、これはこれで満足できる、という印象だったが、やはり2.0リッターを知ってしまうと、1.5には物足りなさを感じるだろう。けれど1.5リッターは使い切れる気持ち良さがあるから、ソフトトップのピュアな走りにはマッチする。そう考えると今後は、RFとソフトトップを乗り比べるのも楽しみのひとつになってくる。