インテリア
また、VSに採用されたナッパレザーシートも上質さの提案だ。オーバーンという赤茶のカラーとともに、「しっとりとした大人の雰囲気や、細かい色の配色によって、このクルマの持つ上質感やゆとりを醸し出している」とし、上質なクルマに仕上げるために、デザインだけでなく、カラーや素材でもトライしていることを語った。
RSのインテリアは、基本的にソフトトップモデルと共通で、RECARO社と共同開発したアルカンターラ+ナッパレザー(サイド部)のスポーツシートが、マニュアルミッションの高性能モデルであることを主張している。未試乗の「VS」モデルには、落ち着きのあるオーバーン(赤褐色)のナッパレザーシートを採用したものが用意されるという。
ロードスターRFは、「人馬一体」というコンセプトからも分かるが、走りの楽しさを追求したクルマだ。だからこそ、オールインワンのファミリーカーと違い、捨てる部分は捨て、尖らせる部分は尖らせる、そんな思想をもっている。ご存知の通り、リクライニングはほぼできないし、車内も広くはない。その代わり、パーフェクトなドライビングポジションを享受することができて、自分の手足となって走らせる感覚を味わうことができる。そういうクルマなのである。
buonoの読者諸兄ならば、このワクワク感に覚えがあるはずだ。手入れが大変で扱いづらいけれど、恐ろしく切れて食材の味を引き上げる包丁だったり、重くて使いどころが限定されるけれど、それでしか出せない味を生み出せる鋳鉄のフライパンだったり……。これぞ同じ感覚。徹底的にこだわる特別な人間のみが到達できる喜びと言える。
シートは高級なナッパレザーシートを採用、適度のホールド感は身体に心地よく、インテリアの質感も上がっている。7インチ・ディスプレイを採用したナビゲーションは、センターコンソールにある「コマンダーコントロール」にて操作ができる。説明書がなくても直感的に操作できるのは嬉しい。
柔らかなナッパレザーのシートは、よくできたジャケットのように、ぴたりと身体に馴染む。走りだす前からよい気分だ。2リットルエンジンを搭載した走りは、ノーマルのロードスターと違って、軽快感というより、余裕の走りというイメージだ。交通の流れに乗っていれば、シフトアップは3000回転程度で行われる。それでも2リットルのパワーで十分な速さを感じることができる。手こぎのMTのようにバタバタしなくても、思うがままの加速を得られる。